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執筆者の写真檜垣 祐一

中小企業のための人材育成の教科書 人材を定着させるために若手に伝える3年間の過ごし方

中小企業に限った話ではないですが、

せっかく採用した人材には長く勤めてもらいたいものですよね。

大量採用できたり、よい有望な人材がこぞって行きたがる大手企業に比べて

それらのすべてで劣らざるを得ない中小企業にとっては

より切実な問題ですよね。

採用予算もリソースもただではないですからね。


その反面、すぐ辞めてしまう

1年で全滅

などという声も聞こえますね。

今回は、新卒を人材育成していく上での

声のかけ方、向き合い方についてお話ししていきます。


① なぜ新卒人材はすぐに辞めてしまうのか

② 新卒が使えるようになるまでの期間

③ 3年間はどう過ぎ去っていくのか

④ 新卒社員にはどのように伝えていけばよいのか



① なぜ新卒人材はすぐに辞めてしまうのか

新卒で採用した人材がすぐに辞めてしまう理由というのはいくつもありますね。

・思っていた職場と違う

・この職場(職業)に未来が見えない

・本当にやりたいことを見つけた

・仕事が面白くない(楽しくない)


どれも、就活前によく考えておけよ!!

と言いたくなってしまうものばかりですよね。

個人的にはどれもその場を辞めたいだけの口実にしか聞こえないですけど。

とはいっても、そういうこと自体は防げないですし、

文句を言っても始まりません。

できることといえば、

“今この場にいる理由と意義をきちんと伝える”

ということですね。

上述のような理由は感情的なものである事なので、

引き留めるのは結構な至難ですが。

それでも、今辛いことがきちんと未来につながっているという認識を持たせることは大切です。

これをきちんと伝えていれば、

変な感情論でやめることの予防処置にもなりますしね。


なにより、

ビジネスの現場において

ビックリするほど

そのことを、マネジメント層は伝えられていないし、

若手もそのことに無自覚です。



② 新卒が使えるようになるまでの期間

さて、人材育成の現場において

“とりあえず3年いろ”

というフレーズはよく耳にしますね。


格言というのは

ある側面から言えば陳腐です。

ただ、真実であればこそ多用されるし

多用されるからこそ陳腐にもなる。

多用され、陳腐になる過程で

“なぜそうなのか”

が忘れされられてしまう最たる言葉が

この “とりあえず3年”なのです。

ただ、実際、

新卒の人材育成において

使えるようになるのには最低3年

実際には4年くらいかかるのが実情ですよね。


この4年間がどういう風に過ぎていき、

そこで何を身に着け、

それが自分のキャリアにどうつながっていくかを

キチンと明確にし、

認識を新卒人材と共有しておく必要があります。


従業員との心が離れていくマネージャー、会社

というのはココを大切にしていないですね。


「黙ってみてろ」

「石の上にも三年」

「やればわかる」

みたいな言葉で納得してくれるほど

強くはないですよ。


我々の頃と違って

耳ざわりの良い情報も選択肢も豊富で

誘惑も多いので。

正直、辞めて行ったその先で

どれほど大変なことが待っているかよりも

“今辞めたい”という気持ちを重視しますからね。


人材育成の前提となる定着のためにも

理解し、納得し、腹おちさせる

ための言葉の大切さは

世代を超えているからこそ大切になってきています。



③ 3年間はどう過ぎ去っていくのか

では、新卒で採用した人材や、若手にどう伝えていくかについてお話ししていきますね。

ここに書いてあることは30代以上の方々はみな経験してきたことです。

それを言語化している形ですね。


〇1年目

右も左もわからないですね。

この業務がなぜ行われていて、何に繋がっているか。

関係各所の利害関係、力関係など。 なぜ、忙しくなっているか。

みんながピリピリしているのかなどなど。

正直何もかもがわけわからないです。

自分で仕事をしているというよりは、

上司の強い管轄下で行動する

ほとんど研修みたいなものですよね。


何もわからないまま過ぎ去っていく、

そうして、嵐のように過ぎ去っていくのが1年目です。

お試し体験入社みたいなものです。



〇2年目

そして2年目。

「もう1年目じゃないからね」と言われて

上司に相談しながらも自分の領域や数字(ノルマ)をもって動き始める。

そして、

失敗をする。

それもたくさん。

さらに繰り返し。


1年目にOJTなどで上司を隣で見ていて思っていた以上に 自分自身は仕事ができない事実に直面します。

そして、落ち込みます。

やることなすことすべてがうまくいかない。

そんな気分になってきます。

正直、毎日

「辞めたい」 という言葉が脳裏によぎります。

それでも、失敗しながら経験を積んでいきます。

ただ、経験を積んでいても

なかなか手ごたえはない。

失敗ばかり繰り返したため、

上司や回り、関係各所からの目も冷たく感じられ

居場所もないような気分になってきます。

手応えのないまま2年目は終わる。



〇3年目

そして迎えた3年目。

年度が切り替わるというのは地味に大切。

心機一転という感じになりますしね。

職種によってはエリアや担当が変わるということもあるかもしれません。

この辺まで来ると

仕事もなんとなくこなせる様になってきます。

2年目までの失敗のお陰で、

どういう風に言ったり、行動すると

うまくいかない、失敗する

といったことが肌感覚で分かるようになり

2年目のようなミスが目に見えて少なくなってきます。

仕事ができるようになってくるのです。


ただ、仕事のミスは少なくなり、

一通り仕事をこなせる様になってきただけ。

より上の成果が出るかどうかはまた別の話。

実際は、仕事できるレベルに比例して売り上げも成果も上がってくはくるのですが。

この段階での仕事できるレベルでは

大きな成果や大きな売り上げを上げるのには不十分だったりします。


しかし、失敗ではなくチャレンジしたこと、

積み重ねていったことの経験値と反省点も蓄積していけます。

この辺まで来るとあと一歩です。



〇4年目

仕事は一通りこなせるようになり、

心にも行動にも余裕が出てきます。

ここから、3年目に得た成果や売上に対する経験と反省点を活かして

仕事ができるようになります。

もっと上の成果・売上に向けた工夫や努力ができるようになります。

ここまで来て、やっと仕事というのは楽しくなり始めてきます。




④ まとめ:新卒社員にはどのように伝えていけばよいのか

ここまでツラツラ書き連ねてきましたが。

大切なのは、

“だから3年(もしくは4年)は必要なんだよ”

ということです。

上述したような1~4年目のストーリーは

話す方によって微妙に違うはずです。

(というか、違わなきゃいけないですね)

ただ、つらいだけで手応えのないように感じられる

1年目、2年目にも

キチンと意味があるということを伝えていくことが大切です。


人は、つらい時に

今いる場所が未来に向けたどこにいるのか。

未来につながった行動になっているか。

の実感がわかないと耐えられなくなる生き物です。


人材育成や定着のための

テクニックや施策に励むよりも先に

まずは、

キチンと社内の人材に向き合い、

経験や思いを丁寧に伝えていくことから始めてはいかがでしょうか。

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