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執筆者の写真檜垣 祐一

マネージャー人材の素養を養う“任せる”ことの覚え方

以前の記事で

マネージャーに登用したいと思うような能力が高い人材は

人に仕事を任せることが苦手なことが多いということを述べました。


とは言いつつも

その能力の高い人材に

マネージメントを担ってもらわないと困るのも

また事実。


今回は、

人に任せることが苦手な人材に

どのようにして、

人に任せることを覚えてもらうかについて説明します。


① なぜ能力が高い人間が人に任せることが苦手なのか

② 人に任せることを身に着ける手順

③ 人に任せることを身に着けるために準備しておくべきこと

④ まとめ



① なぜ能力が高い人間が人に任せることが苦手なのか

そもそも、

何故、能力が高い人材は人に任せることが得意でないことが多いのでしょうか。

“名選手は名監督にあらず”

みたいなことと似ているかもしれません。

それは、

彼らが“能力が高い”からです。

言い換えれば、

現場にいる段階においては、

人に任せなくても、

自分でできてしまうから。

人に任せても

自分がやった方がパフォーマンスがたかい

自分がやった方がはやい

といったことになるので

わざわざ人に任せる方が

効率が悪く感じてしまうからです。


人というのは

遠くの大きなモノよりも

目先の小さなもの方が

大きく目得てしまうことがあります。


人に任せることを習慣にし、

身に着けることで

将来より大きな仕事ができるようになることよりも

今の仕事の仕方を重視してしまうのです。


そして、人に任せること

というのは、個人の資質というよりは

慣れの問題なのです。

もっと言うと、

向いている向いていないというよりは

本人が身につける気があるかどうかの問題なのです。


その“人に任せる”能力を身に着けるために

辛抱強く、

人ができるようになるまで待てるかどうか。

それだけの問題なのです。




② 人に任せることを身に着ける手順

別に、人に任せることに限った話ではありませんが、

何かをできるようになったり

身に着けるということには

とかく時間がかかるのです。


大前提として、

時間がかかります。

そして、あらゆる意味で

辛抱が必要です。

いきなり、すべてが身につくわけではないです。

順を追って取り組んでいく必要があります。


だからこそ、

いきなり、すべてを後輩に任せればよいというわけでもありませんし、

マネージャーとしての登用を視野に入れた段階から

取り組み始めればよいというものでもありません。


まずは、

後輩ができた段階から後輩に仕事を頼むようにします。

後輩に仕事を教えたり、

一部業務を引き継ぐことも大切な学びになります。

その際に、マニュアルを作成させることも有効な手法になります。

マニュアルを作成する過程で

業務内容を構造化し、言語化するからです。

後輩ができたばかりの段階というのは

組織の運営や成績に直結するような大きさの業務を担っていないことが多いので

組織的にもリスクが少ないです。


次の段階に、

作業を任せるという段階があります。

この段階で任せるものでは、

意思決定や考える

ということを任せる必要はありません。

単純な作業を任せましょう。

最初は、紙を右から左に移すくらいのものでよいでしょう。

そこからだんだん難しさを上げていきましょう。


その次の段階として、

考える作業を必要とすることを共有しましょう。

いきなり任せる必要はありません。

最初は一緒にやりましょう。

一緒に作業しながら、作業手順や、考え方を伝えましょう。

一緒に作業する中で、

考え方と、その考え方を実務にどう落とし込んでいくかを

実際に見せながら体感させ、共有していきます。


その次の段階で

初めて、小プロジェクトや作業の一段階を任せられるようになります。

つまり、

後輩に仕事を任せられるようになるプロセスというのは

それすなわち、

後輩を育てることでもあります。

マネージャーに求められる

“人材育成”を疑似的に体感させることでもあります。




③ 人に任せることを身に着けるために準備しておくべきこと

先にも述べた通り、

“人に任せること”を覚えるためには

時間がかかるのです。

そして、

辛抱が必要です。


これを、念頭に置かなくてはなりません。

誰の?

これは、当人だけが念頭に置いておけばよいというものではありません。

部署全体が、

特に管理職、マネージメント層も含めて

その認識を一にしておく必要があります。


辛抱強く我慢することを

一方的に敏腕プレイヤーに強いてしまって

一時的に生産性が落ちてしまって、

それに対する理解や共感、ケアがないようだと

一方的に

プレイヤーが損をしてしまいます。


我慢して、人に任せること

それ自体を評価項目にする必要はありません。

特に営業職などは、

やはり数字が評価対象になるべきだからです。


一方で、

将来、マネージメントを担う人材の育成は

組織全体としての課題でもあります。

人に任せることを身に着けることが

組織と本人のためにいかに大切か。

その過程でのしんどさに組織として、

ケアやバックアップしていくことが

大切になります。


大切なことなので、

繰り返し述べますが、

人材育成というのは当人たちだけの問題でなく

組織の人材の改装ピラミッドを整え

適材適所に人材を配置することも含めて

組織の問題なのです。


当人任せにせず、

組織的に取り組んでいくべきなのです。


そのための下地として、

組織として、

1人に何でもこなさせるよりも

役割分担を意識した、

組織作りも必要になってきます。


このことに関してはまた改めて紙面を割きます。



④ まとめ

マネージャーに求められる

“人に任せる”

ことを身に着けさせるためには、

急に始めるのではなく、

マネージャーへの登用を考え始めるはるか以前。

後輩ができたくらいの段階から、

少しずつ、順を追って、

取り組ませる必要があります。


それと同時に、

そのプロセスを組織として

バックアップしていくことも大切になります。


マネージャーを育成することも

組織として取り組むべき、

会社全体の課題だということを忘れないでください。

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